現在活躍しているラーメン評論家の人たちは、雑誌やマスコミやネットなどを通じて、よく知られている。大崎裕史さんは、もともとラーメンの大ファンであったサラリーマンの方で、普通の人であった。その大崎さんより前の時代から活躍してきている評論家が武内伸さんだ。
武内さんは、現代ラーメン界の大御所とも言われる人で、この人なくして現在のラーメン界はない、と言っても過言ではない人だ。彼の『ラーメン王国の歩き方』(1999年)は、本当に大きな影響を与えた。この本は、武内さんが夕刊フジの連載で、1998年〜1999年に書いたものをまとめたものだ。全国津々浦々の実力あるラーメン店が網羅されている。武内さんは、1960年生まれで、現在47歳(?)。
そんな武内さんより前の世代の人たちで、ラーメンフリーク、ラーメンマニアと言われる人たちにはどんな人たちがいたのだろう?
最近、そんな疑問を持ち、色々と調べている。いったい元祖ラーメンマニアって誰なんだろう? 僕が敬愛する石神さんもまだまだ30代。僕らが生まれる以前には、どんな人たちがラーメンについて語っていたのだろう。そんな疑問に答えてくれる一冊を見つけた。

愛川欽也さんの書物で、まさにラーメンづくしの一冊となっていた。この本の中で、林純茂さんというお医者さんと、山本益博さんという食べ歩き評論家の方が登場している。このお二人、相当のラーメン好きで、当時(70年代〜80年代)、相当話題になった人のようだ。林さんはお医者さんなのにラーメン店を経営してしまった。山本さんは、日本で初めてのラーメンランキング本を書きあげた。林さんは、ラーメン好きの自分のことを「ラーキチ(ラーメンきちがい)」と呼んでいた。また、本書では、他に七人のラーキチが色んなラーメン屋さんを紹介しており、当時から「ラーメンフリーク」が存在していたことが分かる。
愛川欽也さんも、相当のラーメン好きだ。テレビ番組でラーメン特集をしてしまうほどで、現在のラーメン評論家のような存在だったのかもしれない。また、山本さんは確実にラーメンフリークだった。林さんも、相当食べ歩いており、またフルーツラーメンなど奇妙なラーメンの発案者でもあった(また、この頃、林家木久蔵さんも積極的にラーメンについて発言している!)。
この頃のラーメン界では、日本全国レベルでの議論は行われていない。都内、北海道、九州、大阪くらいだ。都内といっても、銀座、荻窪、渋谷程度で、それほど多くのラーメン屋さんが紹介されているわけではない。愛川さんの本書を読んでも、ラーメン雑学を手にするくらいで、「さあ、この本をもって食べ歩きにでかけよう」という気にはならないし、ラーメン界そのものの勢いを感じることもできない。ラーメンの魅力や食べ方やこだわりについてはよくわかるのだが・・・
ただ、当時の方が、ラーメン論としては深いレベルまで語られているような気がする。木久蔵さんもそうだが、とにかくラーメンについてよく考えている。現在のラーメン評論家は、「ラーメンとは何か」ということを問わないまま、ただただ情報集めに追われてしまっている。それだけ多くのラーメン店が生まれてきている、ということであろうが、やっぱり、ラーメンを語るのであれば、ただ店の情報を流すだけでなく、ラーメンとはいったいどういう食べ物なのか、ということをしっかり考えて語っていきたいものである。愛川さんの本書は、情報量としてはものすごく少ないけれど、ラーメンの奥深さやラーメンの魅力については極めて明確に述べられている。
ラーメン好きの人には是非とも読んでもらいたい一冊だと思う。おススメです!!


















